抄録
本研究は,PCモニタに表示された文章を読んでいる読者の感情を自動的に推定するシステムの開発を目的とする.これまでの検討においては,アイトラッカーから取得された視線の移動情報に基づいて,読者が読みづらいと感じた文字(難読文字)の検出手法を提案した.しかしながら,視線の移動情報のみを用いるため,検出精度は低い値を示した.そこで本研究では,顔動画像を併用する難読文字の検出手法に関して検討を加えた.具体的には,5種類の機械学習モデルを用いて,難読文字を黙読した際の顔表情の分類精度を比較し,黙読時の顔動画像解析に有用な手法を検討した.検討の結果、POSTER-BiLSTMモデルは、5種類の顔表情分類モデルにおいて最大の正解率である0.686を示し,黙読時の顔動画像解析に有用な可能性が示唆された.