抄録
日本では,外来患者の病院訪問の約7.9%が糖尿病によるものであり,通院理由の第2位となっている。日本では,人口の高齢化に伴い,糖尿病の有病率は増加すると予想されている。糖尿病患者の中には,糖尿病性足病変を合併して発症する人もいる。外来受診時の定期的な足の診察は,早期発見と重篤な合併症の予防のための基本的な習慣である。しかし,病気に対する認識不足や医療資源は限られているため,多くの患者が初期症状を早期に発見できず,その結果,早期予防や治療の機会を逃している。本研究では,糖尿病性足病変に関連する合併症である爪白癬に焦点を当て,爪白癬に罹患した爪の画像と正常な状態の爪の画像を識別するために,Vision Transformerを用いる,新しい分類手法を提案した。Vision Transformerに基づいた手法は,爪のみの画像を含むデータセットにおいて,足全体の画像を含んだデータセットと比較して優れた性能を示した。このアプローチにより,糖尿病患者における爪白癬のより正確かつ早期の検出が可能となり,重篤な糖尿病性足病変の合併症を予防することで,患者の通院問題の改善と医療費の削減につながる可能性を示した。