抄録
近年,秋田県八郎湖では,アオコによる水質汚濁が問題視されている.このため,水域環境の保全と回復を目的として,リモートセンシングによる水質状況の推定に関する検討が行われている.本研究グループはこれまでに,人工衛星データ,水深,水温,ならびに降水量を統合したマルチモーダル学習手法を用いてSSの水質分布推定を行い,その有効性を明らかにしている.しかしながら,対象とした水質項目はSSに限定されており,他の水質項目に対する本手法の有効性については十分に検証されていない.本研究では,人工衛星データ,水深,水温,ならびに降水量の4種類の情報を統合し,BOD,COD,SS,TN,TP,ならびにNP ratioの水質分布推定を行う.具体的には,空間情報と降水量の時系列情報を統合するために,Dense Fusionの考えに基づく特徴統合手法について検討した.その結果,降雨イベントを含む観測日のSSなど,特定の条件下においては降水量情報を用いることで推定誤差が低減する傾向が見られ,提案手法は,時系列的な降水を考慮することで懸濁物質の流入や水環境変動を反映した水質分布推定に寄与することが示唆された.