抄録
本研究では,物体に対する好きな色を複数選択する際の「色の選択傾向」を行動的特徴と捉え,個人識別に利用できるか否かを明らかにすることを目的とする。本稿では,個人を他者から区別できる唯一性と,一定期間後も同様の傾向を示す再現性の2要件に着目した。被験者22名が3種類の物体について指定された数の好きな色を選ぶ試行を,約1週間の間隔で1人2回行った。被験者が選択した色の集合間のJaccard距離を用い,最近傍法により1対Nの識別を行った。その結果,同一試行内では4色を選択したとき最大86.4%の識別精度が得られ,唯一性の観点で有効である可能性を示した。一方,試行間では精度が低下し,唯一性を高める条件が再現性を高めるとは限らないことを示した。