抄録
歩道の勾配および歩道切下げ部は,車椅子利用者や高齢者の屋外移動に直接影響を与える。勾配角を計測することは,通行可能性の評価やバリアフリー経路計画を支援する上で重要である。本論文では,セグメンテーション手法と深度推定技術に基づく単眼歩道勾配計測手法を提案する。YOLO11-segにより歩道およびスロープ領域を抽出し,Metric3D v2による深度推定結果から三次元点群を生成する。その後,RANSACを用いた平面フィッティングを適用し,歩道平面とスロープ平面の法線ベクトルのなす角から傾斜角を算出する。さらに,フレームごとの推定結果に対して中央値融合を行い,計測の安定化を図った。実環境で収集した歩道映像を用いた評価では,セグメンテーションモデルは30枚のテスト画像においてPrecision 0.927,Recall 0.924,Mask mAP50 0.915を達成した。また,勾配計測パイプラインは30本のテスト動画において,平均絶対誤差(MAE)3.67°,フレームレベルの標準偏差0.60°を達成した。提案手法は,支援ナビゲーションへの応用が期待される低コストな単眼画像を用いた歩道勾配計測手法である。