抄録
日常的な心拍数モニタリングはストレス評価や健康管理への応用が期待されるが,広く用いられるPPG方式のスマートウォッチは装着負担やデータ欠落が課題である。そこで本研究では,非接触かつ小型・低消費電力なパルスコヒーレントレーダ方式のミリ波レーダ(Acconeer A111)による心拍数推定精度を,市販スマートウォッチ(Fitbit Sense 2)を基準に評価した。椅座位の被験者を対象に安静・映像視聴の計50試行を計測し,平均絶対誤差(MAE)やBland–Altman分析,および心拍を一定と仮定したベースラインとの比較により,推定精度と心拍変化への追従性を検証した。その結果,安静時の心拍水準をMAE 2.38 bpmで推定し,全標本の90.1%が誤差5 bpm以内に収まった。一方,心拍変動がセンサー誤差を下回るほど小さかったため,追従性能の確立には至らなかった。この成果は,ミリ波レーダが非接触での概略的な心拍水準モニタリングに応用可能であることを示す。