建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
ISSN-L : 1884-8311
公共工事の入札制度に関する一考察
國島 正彦渡邊 法美
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1993 年 1 巻 p. 115-120

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抄録

我国の公共工事の入札制度は、談合の摘発や国際化の要求により、今や国内からも国外からも変革を迫られている。本研究は、これまでの我国の入札制度の特徴並びに公共調達制度の不具合を明らかにした後、3つの日本人の価値観 (1)「和の思想」(2)「腹八分、以心伝心」(3)「信用重視」を強調し、「よりよい日本の国造りにかなう制度とはいかなるものか」という観点から新しい入札制度を構築し、その妥当性について考察した。3つの日本人の価値観を強調して構築した制度の骨格は (1) 指名制度を基本的枠組みとし、指名基準の客観化と公開 (2) 受注調整のための話し合いの公認と一般競争入札制度の併用 (3) 予定価格の公表 (4) 契約前後におけるヴァリューエンジニアリング (VE) 制度の導入 (5) 工事完成保証人制度、前払金制度の存続、であり、必ずしも現在の社会的要請に合致するとはいえない部分があると思われた。最後に入札制度改善問題における今後の課題について総括した。

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