抄録
本論は、企画構想以来1/3世紀を経て熟成段階を迎えた多摩ニュータウンを研究対象に、開発目標として希求されてきたニュータウンとこれを包含する南多摩都市地域の自立化すなわち「職住近接化のための就業地形成」に着目し、これを実現するための様々な実施施策を追跡し、長期に渉る「事業運営 (Prolect Management)」策の変容過程を考察したものである。この考察から開発目標を具現化するための計画・事業上の実施施策 (Implementation tools) の変遷つまり広義の工程管理 (Construction Management) の重要性を明らかにし、幾度かに渉る事業転換期におけるエポックの存在を明らかにしたものである。衆知のようにNT開発は、息の長い事業であり、この考察で得た知見は、内外に渉る事業環境を認識・予見しつつ適宜・適切な実施施策の準備、つまり中長期的視座に立った「事業運営」と時には緊急避難的施策 (Emergency Plan) の重要性も同時に明らかにした。