2006 年 13 巻 p. 115-126
現伍多くの地方自治体の公共施設のアセットマネジメントは, LCC (Life Cycle Cost) 型のアセットマネジメントが主流となっている. しかしながら, 今後は, 市民が望む真の豊かさや都市像も考慮した施設の価値を最大化するNPM (New Public Management) 型のアセットマネジメントを構築していくことが重要である. この目標を追求するため, 九州大学の教員と福岡市職員で, 福岡市の事例を題材に意見交換会を実施した.
本研究は, 意見交換会の資料・意見の分析により, 「福岡市が推進していくべきアセットマネジメントの将来像はどのようなものか」を検討し, 提案するものである. 福岡市型アセットマネジメントでは, 価値を最大化するために, 公共施設の計画・建設・維持管理の各段階で, 6種類 (施設維持, 建設, 財務, リスク, バリュー, 環境) のマネジメントから成るフレームワークで行うアセットマネジメントに移行することが重要であり, また, それを実現するためには, 組織マネジメントの実施や施設データの統合, 市民や学識経験者・専門家との連携強化が必要であることを示した.