抄録
良質な社会資本整備における適正な工事は、優れた技術力の提供とともにそれに相応する対価の支払いがあって初めて実現する。この対価の妥当性については、一般に、その決定経過の透明性も含めて落札率で論じられる場合が多い。しかしながら、落札率は契約対象の総額に係る比率であるため、対価の妥当性を論じる価格尺度としては不十分である。原価割れが想定される契約金額は適正な対価とは言い難いが、原価も含む総額の多寡を比較する落札率では原価割れか否かの状況が不明確となるからである。
そこで、入札状況や落札価格の傾向を検討する価格尺度として、工事原価にほぼ相当する調査基準価格を0%、予定価格を100%とする尺度、落札指標、を提案するものである。これを用いて、平成17年9月以降における国土交通省の総合評価方式による一般競争入札の状況について分析した。その結果、入札状況は、工事種別や工事ランク (金額) などによつて異なる傾向があることが明らかになった。