建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
ISSN-L : 1884-8311
多様な資産価値と立地条件を考慮した橋梁の資産価値評価に関する一考察
宮本 能久松下 博通榎本 碧
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2007 年 14 巻 p. 199-206

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抄録

本研究は, 重要な道路施設である橋梁を対象とし, 市民にわかりやすく, かつ費用対効果の高い行政執行の仕組みを持ったアセットマネジメント (以下AM) 導入に向けた新たな視点・方向を見出すことを目的とした. 対象橋梁は, 政令指定都市 (福岡市) の都市部, 住宅部, 及び農村部に架橋する橋梁を選定・調査した.また, 橋梁がもつ資産価値算定にあたっては, 橋梁が様々な価値を有していることに着目し, 橋梁本体がもつ物的価値とともに, 橋梁の存在が寄与する交通渋滞緩和などによる市民サービス価値や環境価値の向上も考慮した.そして, 市民が橋梁価値を容易に理解できるように, 貨幣換算により定量化し評価を行った.
本研究で算出した資産価値は, 交通量やその環境影響を受ける市民や道路利用者が多い都市部が他の2つエリアと較べて大きくなった.一方, 農村部では, 災害時の緊急輸送道路に存在する住民にとって不可欠な橋梁も資産価値が低く算出された.今後は, 災害時に果たす橋梁の役割や周辺住民の意見を踏まえながら, 定量化した橋梁価値の利用方法の展開についての提案を行った.

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© 社団法人 土木学会
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