抄録
わが国の社会経済が持続的に発展するためには, 既存の社会資本の機能を保持することが必要不可欠である. そのためには, 従来の事後保全型の対応から予防保全型の対応に転換して, 適切な維持補修計画を策定することが重要である. しかしながら, この維持補修計画の策定において社会的割引率の適用の考え方については十分には整理されていない.
このため, 本研究では, これまでの社会的割引率に対する概念を分析したうえで, 適用しない場合と適用すべき場合との考え方を整理する. さらに, 維持補修計画で重要となる補修工事の最適な実施時期を明らかにする具体的なモデルを示す.