2007 年 14 巻 p. 263-276
わが国における公共工事の入札・契約制度は, 1993年度以降, これまで様々な改革が進められてきた. しかしそれらの改革は, 官製談合事件を発端とする政治的・社会的圧力に押される形で進められており, 十分な制度改革・改善のパフォーマンス評価に基づいたマネジメント・サイクルが整備されて来たとは言い難い. 本研究においては, 以上のような認識のもと, 指名競争入札中心時期の国土交通省四国地方整備局における工事案件データを取り上げ, それらの工事成績評定と,(1) 落札率,(2) 価格競争状態,(3) 落札企業の過去の工事成績評定実績,(4) 落札企業の過去の当該工事地域における被指名実績との関係それぞれについて, 各種の統計的分析をおこなった. その結果,(4) 落札企業の発注同事務所内における過去の被指名回数が, 工事成績評定との関係において, 上記 (1) ~ (4) の指標の範疇において最も論理的整合性が高く, 地域性を背景とする総合的企業評価に関するベンチマーク指標として今後の検討に値する指標であると考察するに至った.