建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
ISSN-L : 1884-8311
公共事業の総合評価方式における企業の入札行動決定モデル
島崎 敏一杉原 賢介下原 祥平
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2008 年 15 巻 p. 281-288

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抄録

公共工事の入札に関しては価格のみによる競争が中心として行われていた. 近年, 公共投資額の減少にともない, 公共工事の受注をめぐる価格競争が激化し, ダンピング受注などの問題が発生してきた. このため, 平成17年に「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が成立, 施行された. この法では, 公共工事の品質確保のための主要な取り組みとして, 総合評価方式の適用を掲げている. 総合評価方式において, 評価値が全ての入札参加企業に対して最大となる企業が受注できる. 自社の技術力, 発注者が求める最低限の品質, 発注者が求める最高の品質, 失格しない評価値を得るなどの制限の範囲内で最も評価値が高くなるような入札行動を行うと考えられる.本研究では, それを説明する入札行動モデルを構築することを目的とする. はじめに技術力関数を定義し, 総合評価方式の除算方式と加算方式における, 発注者が要求する最低限の品質から入札者が提案する品質に改善する費用と評価点の関係を求め, それを最大化することにより, 企業が入札行動を決定するモデルの構築を行う. それを用いて発注者と受注者の立場からの検討を行う.

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