抄録
団塊の世代の大量退職の時期を迎え、技術の伝承問題が進むことが懸念されている。ベテランの技術者が退職していくことで技術力を失うと、企業間における競争力が低下し、さらには業界全体の衰退までも招きかねない。この問題は予見できたはずであり、それができなかったのは中長期的な視点からの人的資源マネジメントを行えなかったためであると考えられる。
そこで本論文では、まず、人的資源マネジメントの方策によって、人材の成長とその結果として会社のパフォーマンスがどのように変化するかを予測するためのシミュレーションモデルを構築した。そのモデルを用いてシミュレーションを行い、人的資源マネジメントのパターンと人材の成長、企業の利益額との関係を分析し、望ましい人的資源マネジメントについて考察した。特に、問題となっている2007年問題に焦点を当て、どう対処していくべきかについて提案を行った。