1994 年 2 巻 p. 117-126
近年、都市周辺における土地造成開発事業は、経済のバブル崩壊後の不況にもかかわらず、慢性的な都市中枢機能の過度集中にもとつく人口過密や住宅不足などの問題により、相かわらず盛んに行われている。土地造成工事計画を行う際には、周辺環境に与える影響を最小限に抑え、安全かっ迅速、経済的に工事を行うため、工事計画のマネジメントにおいても、さらなる高度な管理技術が要求されている。一方、E. S.(エキスパートシステム) を用いた人工知能技術や、C. G.(コンピュータ・グラフィックス) 技術の発展もめざましく多くの分野で適用事例が増加しており、土木分野にも有効な対応策と考えられるようになってきている。
そこで本研究においては、大規模土地造成工事を対象に取り上げて、そこでの工事計画問題についての考察を行うとともに、それぞれに適したアプローチの方法について従来の研究成果をもとに検討を加えた。そして、この検討にもとづき、工法選定のためのエキスパートシステムと、コンピュータ・グラフィックスを積極的に活用することによって、合理的な土地造成工事を実現するための施工計画の策定を念頭においた計画システムの開発を行った。