抄録
本研究は、建設工事における施工のプロセスが社会や自然環境に及ぼす影響を考慮し、建設工事計画全体の良否を建設に係わるコストとして総合的に評価するシステムを構築することを目的としている。まず、施工のプロセスの影響を施工の合理化、周辺環境への影響、地球環境への影響に大きく分け、それぞれについて定量的に評価する指標を考え、それらを貨幣換算して労務費、安全費、周辺環境費、地球環境費とした。そして、さらに、これらに材料費、機械損料を加えて、建設工事全体を総合評価する方法を考案した。
高さ20mの橋脚の施工を対象として、様々な施工法について、提案するシステムを用いて総合評価を行った結果、基礎工事に場所打ちコンクリート杭を用い、躯体工事にプレキャスト埋設型枠工法を用いた施工は、鋼管杭と従来の工法を組み合わせた場合と比べて総合的な建設コストが約10%安くなると評価され、環境への影響も考慮した定量的な評価が可能であることが示された。