抄録
最近の約10年間、年1000人の死亡者が出続けている事実から、建設作業は危険であり、建設現場の安全性は依然として大きな問題であると言える。この傾向を打破するためには、これまでの安全対策の限界を認識し、新たな安全対策が必要であり、労働ぎが自らの安全を守るため、一人一人が危険作業を認識し、安全意識を高め、安全対策を自らの問題として認識することが重要であると考えられる。本研究は、人的な課題と設備の課題との融合を見据えて、ある設備環境における労働者の作業行動水準の相違を検知できると共に、安全行動の教育訓練にも役立つことを目的として、コンピューターグラフィクスによる建設現場の視覚化ソフト (作業員の現場疑似体験ソフト) を試作した。キーボード操作によって、仮想の足場内を自由に歩行し、衝突などの状況を疑似体験できるまでになった。衝突した場合には、体の部分に対応した色の霧を画面に表示する手法としている。さらに実際の現場の状況を詳細に調査研究し、本視覚化ソフトの有効性を高めると共に、実際の労働災害のデータを用いて災害の動態状況を視覚再現できる研究を進めている。