建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
ISSN-L : 1884-8311
公共投資縮減による建設産業への影響評価とその対応策
北海道を事例として
加賀屋 誠一藤田 智輝高野 伸栄伊藤 昌勝
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1998 年 6 巻 p. 155-162

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抄録

本研究は、近年議論されている公共投資縮減が行われた場合、社会経済的な影響を評価するための、方法を検討するものである。特に、地域経済の迅速的対応が困難な地方においては、建設産業が、その対応策を自ら考え、実行することが必要である。ここでは、まず第1に、公共投資が縮減された場合の影響規模について北海道を対象として産業連関分析によって計測した。そして、その縮減の影響を地域経済によって、埋め合わせを行う可能性についてシミュレーションを行った。さらに、建設産業のとりうる戦略をより詳細に検討し、その効果についても検討した。その結果、(1) 公共投資の縮減の北海道経済に与える影響が大きいこと、(2) 縮減の影響を緩和するために、とりうる対策については、北海道経済の体質からその効果を期待することが難しいこと、(3) したがって、建設産業のとりうる戦略について検討する必要があることがわかった。その戦略については、(1) 自らの生産における付加価値率の向上、すなわち、より効率的なシステムの導入、(2) 民間からの固定資本に対する需要の開拓、すなわち、民間活力による建設システムの検討、(3) 建設産業の扱う業務の範囲拡大が考えられ、それらの導入は、当面の縮減の緩和に効果があることがわかった。

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