1999 年 7 巻 p. 63-70
建設残土の不法処分が社会問題化して久しい。残土を適正に処理するには、規制を課すだけでなく技術的条件、経済的条件の整備が重要である。特に複数の地域が共同体制を組んで処理をすれば排出量と受入量のアンバランスが是正されやすくなり、-地域で閉じて行うよりも適正な処理が期待されよう。そこで本研究ではまずゲーム理論にもとつくモデルを定式化し、多地域間で均衡的に成立する共同体制をゲームの「提携」として示す。しかしながらこのような共同体制、それに参加する各地域の個々の利益に基づいて形成され、より広域的な適切性は追求されない可能性がある。これに対して、民間企業が、均衡結果としての共同体制よりも広い地域にわたって残土処理プロセスの一部を担い、各地域から料金を徴収して採算を得るだけの利益確保できるならば、ビジネスとして成立するとともに社会的にも望ましい。そこで、このような新規事業を民間企業が行うことの成立の可能性について上述のモデルを用いて検討する。