抄録
構造物の損傷・劣化診断技術は, 維持管理計画を策定する際に不可欠である. 本研究は, TMD (Tuned Mass Damper) を付加した鋼製3層フレームモデルの自由振動記録を観測データとして, 拡張カルマンフィルタアルゴリズムにモデルの動特性を同定するための定式化を行い, 同定精度の検証を行っている. また, 観測データを自由振動記録としているのは, 実構造物においても比較的容易に観測可能であることを意図している. 用いた同定理論は既往の研究成果に基づいているが, 観測データを取得するための測定装置として, 加速度計, レーザー変位計およびデジタルハイスピードカメラを用いている. 各種の構造同定理論が整備されているが, 本研究の目的は, 同定に用いる観測データ取得方法に着目して, 測定装置の違いによる精度の検証を実験モデルにより行うことである.