環境システム研究論文集
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ダム湖畔における水路の環境整備と流水性生物の生息場所創出効果
百瀬 浩木部 直美須田 真一河野 勝林 光武藤原 宣夫
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2000 年 28 巻 p. 233-240

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抄録

ダム湖畔に整備した湧水汲み場と2つのビオトープ池をつなぐ2個所の水路で、水生生物のコドラート調査と両生類のセンサスを行った。一方の水路 (水路A) はU宇型の練石積みで単純な断面構造を持つが、他方 (水路B) は、内側の石の間に一部空隙を残すなど、 生物の生息に一定の配慮がなされており、 周囲の環境も樹林などが多い。両水路に実験区を設けて浮石を設置し、浮石設置の有無、 設置の前後、水路の違いによる水生生物の生息状況の違いを分析した。水路Aは浮石設置の有無に関わらず生物が少なく、時間の経過と共に生物が多様になる傾向も見られなかったが、水路Bでは浮石の設置により複数の種の個体数が増加し、時間と共に環境も多様となった。また、水路Bで流水性のカジカガエルの繁殖が確認された。これらの結果を踏まえ、ダム湖畔の水路整備の手法について若干の提案を行った。

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