多自然型河川整備の工事実績は伸びているが, 工事実施後の植生遷移については未解明な部分が多い.筆者らは, 低水路護岸に植生ロールを用いて工事された都市中小河川において, 工事後3年までの植生遷移の調査を実施した.その結果植被率は早期に回復し当年夏から70%以上となること, 出現種の構成は経時的に変化し施工後2年には多年生草本種を主体とする群落に変わること, その遷移系列はイヌビエ群落-アメリカセンダングサ群落→イーセイタカアワダチソウ群落・セイタカアワダチソウーヨモギ群落となることが確認された.また, 帰化率や多様度の経年変化は小さいものの, 遷移の進行により群落は変わり帰化種も一年草から多年草の種に置き換わること, 植生ロールは工事2年後夏には分解され水際に新しく発生した生息地に一年草の侵入が見られることも観察された.このことから植生ロールエは適度な撹乱を許容する工法であることが示唆された.