抄録
人間活動の持続可能性を評価するための指標の開発については、既にさまざまな研究が行われている。たとえば、エネルギー消費は大気汚染物質や地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出と密接な関係にあるので、財・サービスの生産に消費された全エネルギーを表す内包エネルギーが、人間活動による環境負荷を総合的に表す代理指標として利用されている。他方、さまざまな資源の生産や汚染の浄化に必要となる土地面積を表すエコロジカルフットプリント (EF) は、自然資本ストックの再生能力を評価するための指標として注目されている。本論文では、産業連関分析の手法によって日本のEFを求める。次いで、EFを指標とした場合と、エネルギー消費を指標とした場合の両者を比較することによって、さまざまな産業が発生させる環境負荷の特徴を比較分析する。最後に、内包エネルギーとEFの両者を1つの指標に統合化する一つの試みを提案する。