抄録
純粋な河原固有植物の一つであるカワラニガナは絶滅危惧II類に分類され, その絶滅が懸念されている。そこで, 本種の生育地特性を分析するため, 多摩川において本種の局所個体群6地点を通過するように, ベルトトランセクトを設置した。それを1×1mの方形区に区分し, 本種の個体数と環境要因6項目 (1. 水面からの比高, 2. 水際からの距離3. 植被率, 4. 細粒土砂の被度, 5. リターの被度6. 優占種) を調査した。その結果, 本種は丸石河原と呼ばれるハビタットに特徴的に生育していることが明らかになった。現在, その丸石河原的ハビタットは減少しており, 今後丸石河原を保全することが急務であると考えられる。