抄録
本研究は都市における水辺環境の評価研究においてこれまで研究蓄積の少なかった都市内部の閉鎖水域である濠に着目し, 快適性, 防災性双方からの水辺環境評価構造を明らかにすることを目的として調査を行った. 1980年代以降河川の環境的利用が提唱されると, その快適性の効果を評価する研究が数多く蓄積されてきたが, 本研究では都市の水辺空間を災害時にも活用できる空間ととらえ「快適性」と「防災性」の二つの空間機能がどのような構造で評価, 認識されているかを共分散構造分析により多重指標モデルを用いて検討した. 本研究からは, 総合的な「空間有用性」としては「防災性」が「快適性」よりも強く認識されていることが示唆された.