環境システム研究論文集
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首都圏のヒートアイランド現象に及ぼす植生と海風の効果に関するリモートセンシングを用いた実態把握
金子 大二郎
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2002 年 30 巻 p. 285-294

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抄録
本研究では, リモートセンシングデータと気象台ルーチンデータを用いて地表面温度の平面分布形を風向条件によって区別し, 首都圏の気温と地表面温度に及ぼす植生と海風による温度低下について検討した. 具体的には, AMeDAS地点において観測された気温と, 気象衛星NO飴から得られる地表面温度とを用い, 地表面熱収支の境界条件となる地表面温度が, 大気と相互作用している実態を捉えると共に, 植生指標NDVIを用いて首都圏における植生と海風が接地層気温に及ぼす緩和効果について季節的実態を抽出した. 現実の地表面温度は, 日射と土地利用によって一義的に定まるのではなく, 風向条件により冷たい海面や都心からの熱の移流を受けて平面分布が変化する. また, 植生による気温緩和効果は, 植生指標NDVIと共に増大し最大5℃に達した. この値は, 著者がLandsat TMデータを用いて島根県域について得た植生による気温緩和の抽出効果である5℃以上の値と一致する. これらの現象は, ヒートアイランドの数値シミュレーションにおける地表面熱収支のモデリングに重要である.
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© 社団法人 土木学会
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