抄録
中国では急速な経済成長によって水問題が深刻化し, 水資源の管理が重要な課題として浮かび上がってきている. 本研究では, 中国国内の移出入に伴う水資源の地域間移動 (これを仮想水移動と呼ぶ) の実態を明らかにし, 1990年代後半の急速な経済成長によって中国国内の仮想水移動がどのように変化したのかを明らかにする. 論文の前半では中国国内の仮想水移動を明らかにするために必要となる水分析用地域間産業連関表の推計方法について検討する. また, 論文の後半では仮想水移動の分析が行われ, 1) 水資源の豊富な南部沿海部から水資源の乏しい内陸部, 黄河流域への仮想水移動が増加していること, 2) 黄河流域でも下流域から中流域, 上流域への仮想水移動が増加していること, 3) 上流域, 中流域でも水需要が増大しており, 流域内の相互依存関係の変化を考慮して水利用のあり方を再検討する必要があること等が明らかにされる.