2006 年 34 巻 p. 143-154
欧米の国・州において2050年を目標に温室効果ガス排出量を60%~80%削減する動きがあるなか, わが国の県レベルで長期的な低炭素社会シナリオ形成のための手法を開発した. 開発した手法を先駆的に滋賀県に適用した結果,(1) 年率1.6%の県内総生産の伸びを前提としても, 2030年に二酸化炭素排出量を1990年比で3割~5割削減するシナリオを描きうること,(2) 2030年に排出量を90年比で半減するためには, 技術的対策 (54%の貢献) だけではなく, 社会経済構造の変革 (36%の貢献) が不可欠であること,(3) 高削減率を目指すほど県独自の施策 (土地利用, 新エネルギー活用, ライフスタイル変革等) による削減寄与率が増して半減ケースでは41%となること, を明らかにした.