本研究では, 鉄鋼産業が既存の生産インフラを活用し, リサイクル型の先導的な生産技術を導入することによって, 高度な資源循環を形成しようとする取り組みに着目する.具体的には, 廃棄物産業連関表を援用した勘定モデルを構築した上で, 先導技術を核とした高質な鉄リサイクルシステムの廃棄物産業連関分析をおこない, 技術変化による物質フローおよび環境負荷の変化を定量的に評価した. その結果, 当該技術の適用がマクロに展開されたとき, 従来に比して埋立処分量およびCO2排出量ではそれぞれ約2.65%, 0.41%の増加となる一方で, 天然資源投入量が約9.2%削減され, 資源生産性では約6.15%の向上が達成されることが明らかになった.