本研究は, 企業の新たな環境管理会計として開発が進むマテリアルフローコスト会計を用いて, 地域の循環連鎖を評価する環境会計のモデルを構築したものである. 具体的には, 我が国と海外におけるマテリアルフローコスト会計の導入動向を踏まえ, 同手法を地域の循環連鎖の評価に拡張するための理論的検討を行うとともに, 具体的な基本フレームを開発した.また, 北九州エコタウンを対象にケーススタディを行い, 構築した手法の有効生を検証した. その結果, 地域の資源循環管理における現状把握と課題の抽出, 立案した対策の評価とその確認といった作業が統一的なフレームで実行可能となることが実証され, 本研究の提案手法が実際の政策過程においても有効な管理ツールとなることを示した.