2006 年 34 巻 p. 443-453
都市における有機性廃棄物およびエネルギー需要の空間分布を建物レベルで推定し分析する手法を用いて, 川崎市の各下水処理場に仮想的にバイオガスプラントを導入し, 家庭系および事業系有機性廃棄物を8通りの収集シナリオで受け入れた場合のエネルギー回収および二酸化炭素削減効果を推定した. その結果, 最大で年間約30GWh/yearの余剰電力および75TJ/yearの余剰熱の回収が可能であり, 施設運用から約12000t-CO2/yearのCO2削減効果があることが明らかとなった. この方法により, 従来の分析では曖昧となっていた余剰エネルギーと周辺建物の需給バランス, 都市内の空間的偏りを考慮した輸送量を検討することが可能となった, 廃棄物焼却場における低位発熱量の向上や, 熱の需給エリアの線引きなど, 都市環境政策を進める上で重要となる項目を検討するための知見が得られた.