抄録
交通環境負荷低減を念頭において商業立地政策や都市構造を見直すには, 商業立地, 商品搬入・購入という広い観点から交通環境負荷を把握する必要がある. しかし, 原産地-居住地間における交通環境負荷を把握する際, 従来の貨物・旅客輸送によるCO2排出量推定方法では「貨物・旅客輸送に伴うCO2排出量を単純に比較できない」, 「現況の輸送実態が反映されない」という限界点, そして商業立地を論ずる上でも「商業施設の立地場所が考慮されない」という限界点を有する. そこで本研究は, それら課題を克服し, 商業施設立地, 購買者の居住地・交通行動、商品搬入の実態をふまえてCO2排出量を簡便に検討可能なマーケットCO2排出量推定式を新たに提案する, ケーススタディとして, 岡山県倉敷市に立地するタイプの異なる2種類の商業施設に対してその適用を試みた.