自然保護助成基金助成成果報告書
Online ISSN : 2189-7727
Print ISSN : 2432-0943
第31期プロ・ナトゥーラ・ファンド助成 特定テーマ助成
増加するナイトツアーがアマミノクロウサギの行動に与える影響とその対策の検証 ―アマミノクロウサギ研究会―
鈴木 真理子宋 多情浅利 裕伸大海 昌平
著者情報
研究報告書・技術報告書 フリー

2022 年 31 巻 p. 145-153

詳細
抄録

奄美大島・徳之島・沖縄本島・西表島が世界自然遺産登録の動きにより観光地として注目を集める中,奄美大島では,増加するナイトツアーによるアマミノクロウサギなどの野生動物への影響の懸念や利用者間のトラブルが発生している.特に利用が集中している奄美市道三太郎線周辺では,島内外から過剰利用への対策が求められており,現在行政主導による利用調整が始まった.本研究では,現在の過剰利用がどの程度野生動物への影響を与えているのか,施行ルールがそれらの影響の軽減につながるかどうかを調べた.緊急事態宣言による観光客数の低迷が影響したが,年間を通したアマミノクロウサギの出没と両生類・爬虫類の交通事故発生における交通量の直接的な影響は見られなかった.また,地元住民とガイドがどのように利用調整の取組を受け取っているのかについて聞き取りを行ったところ,ガイドと住民の利用形態の違いや住民の関与の少なさが問題点として顕在化した.

著者関連情報
© 2022 本論文著者
前の記事 次の記事
feedback
Top