ニホンジカ(Cervus nippon)捕獲用のくくりわなでニホンカモシカ(Capricornis crispus)が錯誤捕獲されており,その影響を調べた.長野県小諸市は2016年から錯誤捕獲されたカモシカに耳標を装着して記録している.千曲川南側の丘陵地に2017年から500m四方に1台合計22台のセンサーカメラを設置し,耳標のついたカモシカの生存と負傷状態を確認した.調査地内の生息個体をすべて撮影するために,2021年にはセンサーカメラを4倍にする期間を設けた.2021年に撮影された映像から錯誤捕獲された個体は調査地内の個体の約50%と推定され,負傷の有無を確認した個体のうち約50%が負傷していたことから,調査内の個体の約25%が負傷していると推定された.また,錯誤捕獲された個体では,負傷した個体の生存率は負傷していない個体よりも低い傾向にあった.