2022 年 31 巻 p. 69-73
亜種リュウキュウオオコノハズクOtus lempiji pryeriの繁殖が確認されている沖縄島と屋我地島における生息実態と行動圏の面積,環境特性を解明した.調査は,2021年2月から8月に行った.約1km四方のメッシュを単位とし,森林からなる北部31メッシュ,都市からなる南部52メッシュ,森林域と都市の移行帯にあたる中部58メッシュで鳴き声の聞き取りを行った.北部の22メッシュ,南部の10メッシュ,中部の24メッシュで鳴き声を確認した.南部での生息確認は重要であり,都市域における生育を可能にする要因を詳細に解明することが課題である.育雛期にあたる5月上旬から6月中旬に,GPSデータロガーを用い,一晩の行動圏を解明した.平均行動圏面積はオス4.07ha(n=5),メス1.7ha(n=2)であった.樹木が疎な森林で採餌をしていると推察された.森林構造や土地利用と餌の利用可能性の関係を解明することで,リュウキュウオオコノハズクの採餌に適した環境を解明することも課題である.