放射線防護分科会会誌
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CT検査時の患者表面線量分布の測定 第2報 : 装置間の比較
富永 正英福居 壽人安友 基勝勘野 博明八木 浩史
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2002 年 14 巻 p. 20-

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抄録

【目的】CT装置は各社画像再構成法及び,X線照射・検出器系に独自のシステムを採用している。そのために同じ撮影条件下でも装置が異なれば患者に照射される線量がことなる可能性がある。そこで調査対象の6装置について,ファントム表面位置での線量分布と画質の関係について検討したので報告する。 【使用機器】<フィルム:UR-2><線量計:Ramtec1000><ファントム:JIS Z4915-1973><濃度計:PDM-7><Chamber:PTW_N23361(30cc),PTW_77336(CT chamber)><自動現像機:SRX-503(現像条件:35℃,90秒)>Table1に,使用したCT装置並びにプロトコルを示す。【方法】まず各装置の電圧を腹部を撮影する条件の管電圧で実効エネルギーを測定する。次に水ファントムにフィルムを巻き付けて10cmの範囲のスキャンを行い表面位置での線量分布を求める資料を作成する。各装置でX線露光されたフィルムは線量が既知のX線で基準露光されたコントロールフィルムと同時に現像を行い,現像されたフィルムより線量分布を第一報で提案した手法用いて求める。一方,スキャンされたファントム画像より中心付近の2000ピクセルのROIを設定して標準偏差を求める。『画質指標』を標準偏差の2乗の逆数と定義し,「画質指標」と線量の関係について検討する。【結果】管電流と線量はほぼ直線関係が認められた(Fig.1)。各装置ごとに線量分布の形態が異なった。とりわけ,スキャン間隙に違いが見られた(Fig.2)。Table2に示すように,大きな差を示したものは装置AとFで,最も小さいものは装置Dであった。線量の一番多かった装置Eと線量の一番小さかったDとの差は24.8であった。線量と画質指標は比例の関係にあった(Fig.3)。またその比例係数は装置ごとに固有の値を持つことが認められた。【考察】今回我々は、『画質指標』を水画像の標準偏差の2乗の逆数と定義し、「線量」との関係を検討した。その結果ファントム表面位置での線量と画質指標の関係は比例関係が実験より求められた。言い換えると、表面線量分布より求められた線量すなわち被験者の被曝線量と標準偏差で表現された「ノイズ」の関係は,「ノイズ」の2乗と反比例の関係を表している。このことは、画像再構成というプロセスを経由して得られたCT画像と患者被曝線量との関係を表現するものであり,このときの比例計数は被曝と画質を論じる手がかりとして評価できるものと考えている。[table][table][figure][figure][figure]

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© 2002 公益社団法人日本放射線技術学会
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