放射線防護分科会会誌
Online ISSN : 2432-6526
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モニタ線量計の簡便評価法
都築 雄士亀島 英典小林 正尚藪谷 俊峰鈴木 昇一
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2002 年 14 巻 p. 25-26

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抄録

【目的】放射線治療装置のモニタ線量計の校正は、日本放射線技術学会「放射線治療技術マニュアル」で週1回行うように定められている。しかし、校正を行うには多くの煩雑な計算が必要となる。現在、計算可能なソフトは市販されているが、過去のデータとの比較は困難であった。今回、計算可能で且つ過去のデータとの比較も可能なソフトを構築した。【方法】1.モニタ線量計の校正方法は、日本医学放射線学会物理部会編「放射線治療における高エネルギーX線及び電子線の吸収線量の標準測定法」に従った。2.吸収線量変換係数等は、前もって求めておいたTPR法によりエネルギーを求めその値から算出した。3.電離箱の校正は、年1回行われるトレーサビリティのとれた線量計との相互比較で得られたものを使用した。4.イオン収集効率(P_<ion>)は簡便法により求めたものを使用した。5.以上得られた測定値を保存できるようにソフトをVisual Basic 6.0(MicroSoft社)で構築した。【ソフトの内容(図1)】[figure]次の7項目について測定することができる。1.吸収線量の測定 2.エネルギーの算出 3.イオン再結合補正係数(P_<ion>)の算出 4.実効制限衝突質量阻止能比 5.吸収線量変換係数を求める際のAc,Awの算出 6.電子線のエネルギー校正 7.深部量百分率 【吸収線量の測定】[figure][figure][figure]すべての測定結果は、図2のように自動的にまとめることができる。そして、『吸収線量測定』を押すと、各項目の値がそれぞれ入力され、線量計の値を入力するだけで吸収線量を求めることができる(図3)。求めた吸収線量は表にまとめ、次回、誤差[%]を測定することができる(図4)。【結果及び考察】1.今回構築した方法は、煩雑な計算部分を簡便に且つ自動的に処理するもので、モニタ線量計の校正時に役に立つ。2.測定したデータの保存と、今までのソフトでは困難であった過去のデータとの比較をし、誤差[%]を測定することができる。3.基礎データの確認も表やグラフにより可能である。4.日常点検の際に、過去のデータとの比較ができることにより、過大線量や過小線量の投与等の大きなミスを軽減できる。【参考文献】1.放射線治療における高エネルギーX線及び電子線の吸収線量の標準測定法(日本医学放射線学会物理部会編):通商産業研究社 2.放射線治療技術マニュアル:日本放射線技術学会,1998年3月

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© 2002 公益社団法人日本放射線技術学会
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