放射線防護分科会会誌
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CT室の管理区域境界の線量評価
鈴木 昇一浅田 恭生中井 隆代竹内 吉人木下 一男渡辺 信行
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2002 年 14 巻 p. 29-

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抄録

[目的]平成13年4月1日より放射線関連の法律が改正された。法令の大きな変更点の一つである管理区域境界の線量評価が積算値で3月間あたり1.3mSvとなった。線量評価方法は、実測値基づく方法と計算により算定された値に基づいた評価方法がある。CT室については、計算方法は示されていない。そこで、今回、CT室の管理区域境界の線量測定を行い、新法令に対する評価を行った。[方法]1.CT室内での散乱線測定を行った。装置はGE横河メディカル社製Pro Seed SA Libra 2.室内の壁面近傍の最大線量点を求め、その壁面外則を評価点とした。 3.線量評価は、実効線量で評価した。実効線量/空中カーマは1.433を使用した。 4.その他線量が多いとされる部分に測定器を配置し、3月間測定した。 5.バックグラウンド(BG)はX線装置から離れた場所で、同時測定した。 6.ガントリの遮へい能力についても検討した。[結果]及び[考察]1.)CT室内での最大線量点は線束中心から水平方向でおおよそ45度となった。線量はガントリ外則が最低となった(図1.)。CT装置のガントリの遮へいは、鉛当量で2.9mm(2.5x10^>-5<)程度であった。 2.)3月間の測定において管理区域境界、壁面外側(図2.の(1)、(2))で200μSv程度であった。スキャン数は6万スキャン、総mAs値は1000万mAs程度であった。 3.)同時に測定したBG値(図2.の(3)、(4)、(5))もほぼ同様な値を示した。CT室の壁外側の線量はBG程度であった。 4.)今回の測定により、3月間1.3mSvを十分下回っていることを確認した。 5.)今回の結果から、装置の位置や部屋の大きさによって異なるが、通常のCT室においては、測定結果から防護の追加は必要ないことを確認した。 6.)測定データを蓄積し、必要な防護措置と無駄な防護措置を明確に区別すべきである。

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© 2002 公益社団法人日本放射線技術学会
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