放射線防護分科会会誌
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Print ISSN : 1345-3246
当院の核医学検査より発生する医療廃棄物への取り組み
高橋 亜希川口 範洋大塩 滋鈴木 正広駒田 英勝竹内 愛朗近藤 裕二木村 千明
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2002 年 14 巻 p. 33-

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抄録

【目的】当院では廃棄物の管理を個別管理と集中管理の併用で行っており、バックグランドより高い廃棄物が廃棄業者に回収されないよう防止している。適切な管理を行うため、測定方法、測定者間の誤差について検討した。【方法】1.時定数の変化による測定結果の影響:0.3μSv/hのレンジにて時定数を3,10,30秒と変化させ、測定距離は14cmで行った。模擬線源はカットオフ値である0.15μSv/hとした。2.方向依存性の影響について:シンチレーションサーベイメーターを固定し、0°から360°まで30°間隔にて測定し、0°の測定値を100%として、各ポイントの比較を行った。3.測定個所の検討:廃棄箱の中心に5μSv/hの^<99m>Tcを設置し、時定数3秒、1μSv/hのレンジにて、各位置における測定値の変化について検証した。【結果】1.時定数:初期反応は設定した時定数が短いほどよく、30秒の時定数を使用した場合、初期反応が悪い結果となった。今回の目的は、放射性物質の有無を判定することであるため、時定数は3秒でよいと考える。2.方向依存性:中心より、90°方向では、98%の検出が可能であったが、150°方向で85%となり、180°方向では、28%と急激な低下が認められた。3.測定個所の検討:廃棄箱を展開図で考えると、一つのエリアを3方向から測定していることになるため、短時間で測定を行うためには、(図1)に示す14ポイントが妥当と考えた。[figure]【技能評価】測定者に同一核種で異なる濃度を入れた2箱と、核種の入っていない1箱の計3箱を各自の方法で測定し、1箱あたりの測定時間と、測定方法、廃棄可能かの判定、以上の三項目について調査した。その後、同一条件にて、当院のガイドラインに沿って再度測定を行い、どの程度向上しているかを調査した。当院で作成したガイドライン:1.時定数3秒にて2T以上測定する。2.測定個所の統一(14ポイント方式)3.サーベイメーターの計測距離、方向の統一 高濃度では時定数3秒は初期反応が早いため検出可能であったが、低濃度の場合時定数以下であると表示値がバックグランド以下を示しているため、検出率は23%となった。ガイドラインの測定方法で行った場合、1箇所を6秒以上で測定しているため低濃度でも検出効率が100%と向上した。核種の存在場所の特定に関しては、高濃度では20%、低濃度では60%であった。測定時間は、各自の測定方法で行った場合の約3倍の測定時間となった。【考察】今回、廃棄物に関してより適切な管理を行うため、測定方法、測定者間の誤差について検討した。当院のガイドラインを作成したことにより、低濃度の廃棄物の検出効率を向上することが出来た。14ポイント測定法は、スクリーニング法として採用することが、望ましいと考えた。【今後の検討】個別管理を強化するため、核医学検査を施行したオムツ使用患者に対して、オムツ回収用の箱を回収期間内貸し出すことで、根本的排除を期待したい。

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© 2002 公益社団法人日本放射線技術学会
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