2025 年 64 巻 p. 83-112
紛争下の性暴力が戦争の武器として役に立っているのは、加害者の不処罰以外に、被害者と彼らを保護すべき者が沈黙させられているためである。また紛争下の性暴力はコミュニティーと次世代の破壊、被害者とその家族の無力化、加害者の男性性の強化を引き起こす。このような状況は、征服者による大量な「望ましくない」集団の強制移住と弱体化、また「望ましい」土地や資源の略奪によって起きる。
このような政治経済や強制移住と関連した性暴力は、豊富な鉱物資源を有する「望ましい」コンゴ民主共和国東部で起きてきた。隣国ルワンダがそこで戦争の武器を使用してきたのは、経済的および人口動態の動機を持っているためである。先行研究はコンゴ領土においてコンゴ軍等の高官へのインタビューをもとに、同軍兵士の「失敗した男性性」と性的欲望が性暴力を引き起こしたと論じたが、本研究ではルワンダが1996年にコンゴ東部に侵入して以来、武器として性暴力を使用してきたことを論じている。それが実現できたのは、ルワンダがコンゴ軍を含む武装勢力に侵入して支配し、現地の鉱山や住民も支配したためである。これにより、ルワンダ政府は武装勢力の覇権的男性性と軍事化された男性性を強化し、現地住民の男性性や士気を低下させ、コンゴ軍や男性市民が女性を保護できないように沈黙させてきた。ルワンダは土地と資源へのアクセスを得るために、この武器を使用して「望ましくない」コンゴ人を追放した。本論文は亡命中の元ルワンダ軍兵士らにインタビューし、戦術として性暴力を煽るというルワンダの未調査の役割を検証した初の研究である。