抄録
除去工作法で加工できる穴形状の任意性は意外に限られている.すなわち,金属材料に穴を形成する場合,一般に回転工具による切削加工が一般的であるが,加工形状は直穴で,断面は円となる.このような穴形状の任意性の欠如が直接影響している分野に,金型の冷却管最適配置問題がある.根本的な解決のためには,多様な穴形状を実現できればよい.そこで本研究では,穴内面の複雑形状化を実現する加工法の開発を目的とする.その第一歩として,放電加工機の主軸動作を工具電極の回転運動に変換する装置を開発した.この装置とスリット付き電極を用いて加工したところ,穴内面にフィンの形成された半円形状の空間を形成することに成功した.