九州歯科学会雑誌
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スフェロイド形成技術による歯周組織再生の試み
臼井  通彦花谷  智哉中島  啓介
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2016 年 70 巻 3 号 p. 68-72

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抄録
生体内の組織中では,細胞はお互いに結合するだけでなく,細胞外マトリックスが作る構造により支持されている.そこにはコラーゲンやエラスチン,ラミニンなどのタンパク質が存在し,細胞間のコミュニケーションを手助けしている.細胞表面にある受容体,特にインテグリンファミリーが細胞外マトリックスに結合し,周辺環境に対してどのように応答するかを決定する.この複雑な環境を考えると,平面上に単層として広がる単層培養では,細胞の持つ本来の性質が再現できなかった.スフェロイド(細胞凝集塊)とは,細胞が多数凝集して,3次元状態になったものである.スフェロイド中の細胞は,細胞─細胞間が接着タンパク質を介して接合することにより,細胞間コミュニケーションが行なわれ,細胞分化などの生理的機能が向上することが知られている.また,幹細胞のその多様性(多分化能)を維持するのにスフェロイド形態であることが必要とされている.近年,こうした特徴を有するスフェロイドの再生医療への応用が期待されている.本総説では,組織再生のための組織構築技術であるスフェロイドについて,その特徴と作製方法について概説し,歯周組織再生への可能性を探索する.
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© 2016 九州歯科学会
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