抄録
エアースピンドルは超精密工作機械にとって必須の要素である。近年、加工対象が小型化するにつれて使用工具の直径が小さくなり、切削速度維持のためスピンドル回転速度を増加させなければならなくなっている。本研究では高速回転時のスピンドル振動を抑制するための新しい戦術を提案している。通常の空気静圧軸受で支持されたエアースピンドルに能動制御可能な動圧軸受を組み込む。このハイブリッド軸受システムでは、軸負荷は基本的には静圧軸受で支えられる。そして、高速回転時のスピンドル振動を能動動圧軸受で抑制しようとしている。センサで検出された軸変位に応じて制御コンピュータは動圧軸受のくさび角を圧電素子により変更し、発生動圧を調節して軸変位を補償する。この能動動圧軸受の調節能力つまり負荷容量は回転数とともに増加するので、高速回転するスピンドルの振動抑制に有利である。本研究では、このハイブリッド軸受システムの概念と試作スピンドルによる実験結果を報告する。