抄録
3次元CADシステムを用いた機械設計では,集合演算を繰り返しながら製品形状を作成するが,その過程で思わぬ薄肉形状を作り出してしまうことがある.このような形状は剛性に問題があり製造も困難なため,設計後に立体モデルから薄肉形状を検出する手法が望まれている.立体モデルの厚み評価手法としては,点pに内接する最大球の直径をpの厚みとするSphere法がよく用いられている.しかしこの手法では,立体の角の部分(エッジ)も薄いと判断してしまうため,薄肉形状の検出には不適当である.われわれは立体モデル内部の距離場に基づいて,薄肉形状を検出・表示する手法を開発したので報告する.本手法はボクセルモデルの距離情報に基づいて立体の縮小と膨張を繰り返し,薄肉形状を検出する.さらに薄肉形状以外を半透明表示することで,立体奥の薄肉形状を設計者に分かり易く提示する.