抄録
蚊の口針を模擬した低侵襲性中空微細針の開発の一環として,針内径と血液吸引性能の関係を評価した.光造型法により作製した中空針は,内径20 µm~50 µm,長さ500 µmとした.内径20 µmの場合,蚊の血液吸引量である2 µLを吸引できるが,その後血栓ができてそれ以上の吸引が困難であった.蚊は宿主に気付かれないように血液を吸うために口針を細くして皮膚の痛点を避けているが,一方でこれは管の詰まりを招く.蚊の上唇の内径20 µmは両要素を満足するために進化の過程で獲得された最適値であると考えた.