2022 年 4 巻 1 号 p. 16-23
高齢者のフレイルについて生活を構成する作業の側面から捉えることは,新型コロナウイルス感染症の流行下にある現在ますます重要となっている.本研究は,地域在住高齢者のフレイルに対する作業機能障害および作業バランスを検討することを目的とした.地域在住高齢者45名に質問紙調査を実施した結果,フレイル群はロバスト群と比較して,有意に作業不均衡と作業剥奪の得点が高かった.特に,フレイルの中でも運動器の機能や抑うつ気分等が作業機能障害と有意に関連していた.一方で,義務や願望に基づく作業バランスについては両群に有意差を認めなかった.以上より,フレイルの改善に向けて,作業機能障害に着眼する意義は高いと考える.