抄録
今回,自宅退院を目標に機能回復を中心に作業療法を実施したが,介入効果が乏しく難渋した進行がん患者を経験した.進行がん患者のリハビリテーションでは急性期であっても患者の状態に応じて,機能回復アプローチからQOL 優先のアプローチへの転換が必要であり,柔軟に対応が不可欠である.そこで終末期がん患者に対する作業療法士の実践自己評価尺度(SROT-TC)を用いることで,患者本人や家族のナラティブから思いを汲み取り,目指すべき目標を焦点化した.そして作業療法の役割を整理し,他職種と協働することで,円滑に実践することができた.