抄録
終末期がん患者の作業療法は,患者にとって重要な作業を支援するが,患者の状況により,希望聴取が困難なため,介入方針が立案しにくい.今回,介入時の終末期がん患者に対する作業療法士の実践自己評価尺度(SROT-TC)にて,円滑に介入方針を決定できたため報告する.事例はA氏,90歳代,男性,悪性黒色腫,転移性骨・肝腫瘍であり,自宅療養中,疼痛にて入院となった.予後は日~週単位と言われ,A氏は心身が衰弱し,希望聴取が困難だった.SROT-TCにて他職種や家族と情報共有が必要であることが分かり,情報共有にてA氏にとって仕事が重要な作業であったため,仕事に関する会話を導入し,A氏の意欲向上に繋がった.