抄録
重症心身障害児に対する車椅子作製の経験を述べた。外来移行に際し,外来受診時間内乗車可能な車椅子作製の必要性があった。そこで,変形拘縮に対応した姿勢保持機能と消化管通過障害に対応した角度調節機能を搭載した車椅子を作製した。症例の場合,骨盤の正中位方向への誘導が可能となる股関節アライメント,体幹部の支持面と,前方滑り座りの一要因である膝伸展制限角度を把握し作製した。さらに胃内容物排出可能角度を設定することで,長時間の外来受診が可能となった。一方で,組み立て・折り畳みに時間を要すること,移乗時に注意を要すること,定期的な修正が必要であることなどの課題が考えられた。